「日本の鉄道と新交通システムBRT・LRTの未来:エンジニアが語る交通インフラの進化」
こんにちは、『エンジニアの未来』編集部 望月です。
日本は世界有数の鉄道大国といえます。1872年10月14日に新橋-横浜間で鉄道が開通し150年が経ち、現在はJRと私鉄を合わせた鉄道路線の総延長は約2万7700キロ、1日あたり約6800万人が利用しているというデータがあります。今後2027年以降には品川―名古屋間を最高時速500キロで結ぶリニア中央新幹線も開業する予定です。
一方、鉄道以外の主に自動車に関する交通では、国鉄が民営化された1987年前後と比較すると、下記のように着々と変化しています。
・自動車の普及
乗用車の保有台数(1987年比) 全国平均2倍以上、地方で2.5倍
・高速道路の距離
高速道路総延長距離(1987年比) 3910km ⇒ 9050km
・高速バスの普及
1986年頃に品川ー弘前を結ぶノクターン号、新宿ー博多を結ぶはかた号の成功により多くの路線が開設、近年では年間延べ1億人以上が利用。
日々の暮らしでの鉄道との関わりは時代と共に変化し、鉄道に対するニーズも変わっていきます。そのような中で、新交通システムとして話題になっている、BRTとLRTについて今回ご説明いたします。
宇都宮ライトレール
◆BRTとは
「Bus Rapid Transit」(バス・ラピッド・トランジット)の略で、バスをベースとした交通システムのことです。
東京BRT(虎ノ門ヒルズ~豊洲~東京テレポート)、新潟駅から出ている萬代橋ライン、九州のBRTひこぼしラインなど日本各地にありますが、中でも有名なところでは、震災の津波で被害を受けた東北の沿岸部に、鉄道に代わり2012年12月と2013年3月に順次運行を開始した気仙沼線BRT、大船渡線BRTがあります。
全長100Km以上、通して乗車すると3時間以上かかる長距離BRT路線です。当初は鉄道復旧までの暫定措置として開通していました。BRT専用レーンを多く走行しており、JRの切符を使用できるためバス内での現金授受が必須ではないことなどから、定時性・利便性を確保しつつ運行コストを削減できており、その後鉄道再建に代わり本復旧として採用されています。
かつての鉄道ホームをBRT専用レーンとした気仙沼駅。鉄道線(JR大船渡線)と同じ改札内にBRT乗り場があります。
◆LRTとは
「Light Rail Transit」(ライト・レール・トランジット)の略で、日本語訳は「軽量軌道交通」です。従来の路面電車のように専用のレールを走行します。自動車の渋滞に関係なく運行し、速度が速く、低床車両を用いて乗降が容易、電気モーターで駆動し環境に優しい点などが改良されているため、新交通システムと言われる所以となっています。
日本で初めて本格的に導入されたLRTは、旧JR富山港線をLRT化し2006年に導入された「富山ライトレール」です。富山市はこれまでの自動車利用を中心とした拡散型の都市から、ライトレールを活用し都市機能を集約した「コンパクトなまちづくり」を進め、特に高齢者の乗車率が以前より増加し成功事例となりました。
その後広島でも導入されるなど開発が進み、今年の夏に開通した「宇都宮ライトレール」は、75年ぶりに国内で新たな路面電車が開業したと話題になりました。窓が大きく景色を楽しめる、扉にIC乗車券(suicaなど)の読み取りがあり、どの扉から乗車しても運賃支払いがスムーズに行える、日中は12分おき運行というわかりやすいダイヤなど、沿線住民や通勤通学への利便性はもとより、鉄道目当ての観光客も多数乗車目的に訪れています。
富山ライトレール
富山ライトレールは毎年デザインが優れた物事に贈られる賞である「グッドデザイン賞」を受賞していて、富山市の風景、四季と、先進的なLRTの融合や、車利用者をLRTに乗ってもらうための魅力のあるデザインも高く評価されています。
街づくり、風景と融合するデザインというソフト面、またクリーンな輸送手段といったハード面の両面で、世界に発信できる日本の技術をますます成長させられるエンジニアの需要が高まっています。
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