「エンジニアから管理職へ:鉄道プロジェクトPMが語る業務と挑戦」
弊社アスリート社員/上里琢文選手(ビーチサッカー日本代表)の「上里琢文が行く!」
このシリーズ企画は、上里選手が弊社の部署や社員などにインタビューを実施し、アスリートならではの視点などをふまえ、皆さまに弊社のことをより知っていただく為のシリーズ企画となっております。
今回は、ソリューション部 ソリューション1課 鉄道プロジェクト プロジェクトマネージャー O・Kさんにインタビューさせていただきました。(2022年12月現在)お話しいただいた内容は・・・
【鉄道プロジェクトの事業内容】
【プロジェクトマネージャーの業務内容】
【エンジニアから管理職へ】
以上の3テーマとなります!
上里 琢文(以下 上里):「上里と申します。本日はよろしくお願いいたします。」
O・K(以下 O):「『鉄道プロジェクト(以下 鉄道PJ)』プロジェクトマネージャー(以下 PM)の奥村です、お願いいたします。」
鉄道プロジェクト(鉄道PJ)の業務内容
上里:「まず鉄道PJでは、どんな業務をしているのか教えていただけますか?」
O:「はい、弊社鉄道PJでは、鉄道に関わる製品の設計及び製造業務を行っています。様々な製品に携わっているのですが、例えば、踏切を制御する装置の中でログ(記録)を取る装置や、転てつ器(ポイント)と言われているレールが分岐する部分の装置が正常に動作しているのかの監視装置を設計製造しています。」
上里:「監視というとカメラが思い浮かびますが?」
O:「ここでの監視装置は、電流を常に転てつ機に流しておき、電流が流れていれば正常、流れていないと異常というような仕組みになっています。」
上里:「線路の分岐装置はどのタイミングで切り替えの合図を出すのですか?」
O:「分岐装置も踏切も数100メートル手前です。踏切の場合は近づく電車を検知すると、スイッチ(リレー)のオンオフなど『様々な装置が動作をして』踏切を下ろします。電車が通過して、数100メートル先まで行ったら踏切を上げるという動作となるのですが『様々な装置が動作をする』というのが大事なところです。」
上里:「『様々な装置が動作をする』とは、どういうことですか?」
O:「はい、『様々な装置が動作をする』=複数の装置を使って制御しているんです。ひとつの装置だけを使用していた場合、その装置が故障したら即事故につながってしまいます。遮断機もポイントも、ひとつだけの装置だけではなく、複数の装置が連動して動作するようになっています。」
上里:「なるほど!そういえば弊社で開催された工場見学の社内イベントに参加させていただいた際に、踏切の説明を受けたのですが、緊急停止ボタンも作っていらっしゃるのでしょうか?」
O:「緊急停止ボタン自体を弊社では作っていないのですが、緊急停止ボタンを押すと緊急事態を運転士に知らせるために線路脇の特殊発光信号機と言われている5角形の赤信号がクルクル回ります。それを見て運転士がブレーキをかけるわけですが、その5角形の信号を制御している部分を弊社で設計製造しています。」
上里:「それらの製品は、お客様(発注元)から注文があって作られているのですよね?」
O:「そうですね。鉄道PJとして、現在はお取引先様1社の製品のみを設計および製造していますが、今後は、幅広く鉄道に関わる製品の設計および製造をやっていきたいと考えています。」
プロジェクトマネージャー(PM)の業務内容
上里:「PMとしての業務はどういったものになるのでしょうか?」
O:「私のPMとしての業務内容は、メンバーの稼働管理や育成、それから各工事に対しての人材配置、最も重要なのはPJの売上・利益の確保ですね。その他にはPJ内の課題や問題点の改善、各工事見積もりの承認、もちろん私が見積りを作成する場合もあります。品質の管理に関しては、製造の方にお願いしています。」
上里:「ほぼすべての管理業務ですね!PMになってから担うようになったのですか?」
O:「PMになる前も各工事に対しての人材配置や、メンバーの稼働管理はしていました。PMになってからの一番の違いは『売上の管理』ですね。売上はPMになって初めて管理するようになりました。」
上里:「『売上の管理』という業務が増えたということですが、不慣れなための苦労はありますか?」
O:「苦労はありますが、不慣れ故という風には感じてはいません。仕事がある場合は、まずはメンバーの稼働管理をしっかりやります。現在のメンバーの稼働をいかに上げるか、稼働が上がれば売上も上がっていきます。ただ、目標に対して、あとどれだけ足りないかとか、達成するためにはどうしたらいいのかを考えたりするのは、低い目標ではないのでやはり苦労します。仕事がない場合は営業活動です。当然私だけでは難しいので、周囲の方にも協力してもらいます。」
上里:「売上を達成するために、営業もするのですか?」
O:「もちろんします。」
上里:「PMをサッカー界で例えると、チームを指導する監督業を超えて対外交渉をするGM(ゼネラルマネージャー)のような業務内容なのですね。エンジニアの方が営業でお客様と交渉するのは難しいことのように思いますが?」
O:「そうですね、駆け引きのような側面は確かにあるので、コミュニケーション能力は必須です。とはいえ、技術的な話はやはりエンジニア経験者にしかできません。」
上里:「Oさんは鉄道一筋なのですか?」
O:「私の場合は違います。入社直後は警察無線関係の仕事や、会社のエントランスに飾ってある家庭用防災無線端末、あれは私が設計しました。その時は3年間ぐらい携わっていましたね。」
上里:「3年間。1つの製品に取り組むというのは、どういう気持ちなのですか?」
O:「あれは自社製品開発の1つなのですが、自社製品開発ならではの難しいところがあります。納期に向けて、すべての工程および設計品質を全部自分で管理するのですが、それらを全て自分で進め、自社の製品として売り出されるのですから、品質面も含めて、責任が重い仕事ですね。」
上里:「家庭用防災無線端末の総合的な満足度はいかがですか?」
O:「コストの面を考えると個人的には70~80%というところですかね。いま考えれば、もう少しコストダウンができたかなと思いますね。」
上里:「さすが!PM目線ですね(笑)」
エンジニアから管理職へ
上里:「エンジニアで最初から管理職を目指す人はいらっしゃるんでしょうか?OさんはPMになりたいと思っていましたか?」
O:「難しいですよね、その質問(笑)エンジニア歴が長くなってくると、この分岐点は必ず来ます。正直私はどちらかに決めていたわけではないのですが、上司からチャンスをいただいたので、チェレンジしてみようと決意しました。」
上里:「それでは、Oさん個人としてではなく、組織としてPMに求められる素養はどういったものになるとお考えですか?」
O:「そうですね、まずPJ内において改善点や、新しいビジネスなどの変革の目を見つけられること。そしてそれを提言し、実際に行動を起こすことができる人ですかね。自分もPMとして、そこは意識しています。」
上里:「PMのOさんが実際に業務で手を動かすことはあるのですか?」
O:「動かさなくて済むのが理想です。しかし、私が手を動かすのであれば必ず部下や若手のエンジニアをそばに付けて、そのエンジニアの成長を考えながらやるようにしています。」
上里:「若いエンジニアさんは、キャリアをスタートする時からマネジメントの事までは、なかなか考えられないと思うのですが、実際はどうですか?」
O:「若手でマネジメントに興味を持っている人はほぼいないです。ほとんどの人はエンジニア一本でいきたいと思っています。私のところにマネージャー希望者が1人いましたが、入社10年以上の社員です。」
上里:「やはりそうなんですね。ちなみにOさんはどういったモチベーションでマネジメントしているのですか?」
O:「まず、単純に使命感はあります。あとは自分の成長のためですね!何事もやってみなければわかりませんから、挑戦、チャレンジです!」
上里:「僕はまだ選手、プレイヤーでいたいので、なかなか指導する側になろうとは思えないです。」
O:「そうですよね。サッカーは年齢を重ねると自然と指導者という選択肢が出てくるのかもしれませんが、エンジニアは生涯エンジニアも可能ですから、マネジメントに目を向ける機会も少ないかもしれません。」
上里:「管理職に必要な能力はなんだと思いますか?」
O:「『周りを巻き込む力』=コミュニケーションが必要だと感じますね。巻き込む力がないと、業務を円滑に進めるための相談などができずに抱え込んでしまうことになります。私は1人で抱え込む前に、みんなに相談をしコミュニケーションを取り、チームで考える方向にもっていきます。管理職に必要なのはチームでどう進めていくのか?を考え実行することではないでしょうか?」
上里:「僕もサッカー教室などで教えることがあるのですが、子供のモチベーションを上げてあげるのが精一杯で、とても監督のように大勢の選手にうまく物事を伝えたり、GMのように外の取引先との交渉などはできる気がしません。それらをこなすPM職の方にはリスペクトしかないです。エンジニアとしてのスキルはもちろんのことですが、PMにはコミュニケーション能力も求められるのですね。サッカーでもPJでも共通して、強いチームを作るには、やはりコミュニケーションが重要なのだと再確認できました。それでは最後に、今後の目標について教えてください。」
O:「そうですね、最初にお話しした、鉄道PJとして現状よりも販路を広げるという事と、やはりPM職の後継者の育成ですね。これは永遠の課題かもしれません。」
上里:「やりがいがありそうですね!頑張ってください。本日はありがとうございました!」
O:「ありがとうございました。」
O・K
埼玉県鴻巣市生まれ。現在3人家族で埼玉県在住。 2000年に入社し、通信機事業部に配属。受託でのハードウェア設計、開発業務を担当。 以降、多種多様なシステム、装置の開発に携わった後、新横浜ECの受託設計部門のハード設計責任者に従事。 現在は、鉄道PJのプロジェクトマネージャーとして活躍中。
上里 琢文
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