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耐久性と革新性を兼ね備えたデジタルアンプの開発ストーリー

初めまして、Mと申します。

現在、デジタルアンプのシステムエンジニアを担当しております。
今回は、私の仕事の中での夢がかなったお話をしたいと思います。

私の夢~オリジナル製品の開発・販売

私は、入社してから、一貫して水利システムの設計に携わってまいりました。

水利システムとは、ダムや河川に設置されダムからの放流に先立って周辺住民の方に水位上昇の危険を伝える「放流警報装置」や雨量/水位を監視する「テレメータ装置」の事です。

これらの装置をコントロールする監視制御装置を含めた水利システムの設計に、20年以上携わってきました。

その中の、「放流警報装置」は、拡声放送やサイレンおよび表示装置を使用して河川周辺の人に警報通知を行います。

警報通知はアンプ(音声増幅装置)を使用することからアンプの設計も行いました。
ダムがある場所と言うことで設置場所も山奥であり、時には現地工事として作業に行くことも有り大変なこともたくさんありましたが、今ではそれも楽しい思い出になっています。

当時、当社の仕事は請負での”ものづくり”(設計/製作)がほとんどでした。要するにお客様に頼まれて、設計・開発をしていました。そんな中でも、私自身は「いつか自社製品を開発して販売したい」という夢がありました。

その夢を実現した製品が、ホームページでも紹介されております「デジタルアンプ」です。
製品化までのストーリーをご紹介します。

失敗

私が入社した当時、自社設計のアンプはアナログアンプでした。
何回かモデルチェンジを行いましたが、2000年にデジタル化の開発依頼がありました。
デジタルアンプは、既存のアナログアンプとは全く発想が異なる開発でした。
結果としては、開発段階での動作確認が不充分のままの納入となり、現地での不具合により全回収、他社装置への交換と、厳しいものとなりました。

また失敗

その後もデジタルアンプの開発は継続し、2003年、デジタル防災無線装置の屋外装置のアンプ+電源装置の開発依頼がありました。
今回もデジタルアンプの開発が間に合わず完成しなかったため、他社製アンプを搭載して納入を行いました。
この時も納入時の現地での不具合の発生により、お客様に多大なご迷惑をお掛けいたしました。

完成

2005年に屋外装置のアンプ+電源装置の開発依頼があり、自社製デジタルアンプの開発を完了。
その後、仕様変更の依頼により自社製デジタルアンプへの切替搭載。
そして、2008年にようやく念願かなって、自社製アンプ(120W)の開発/販売を開始したのです!

セントラルのロゴ入り製品です。足かけ8年。本当にうれしかったです。
仲間やお客様など、多くの技術者の努力により製品化が成し遂げられました。
それは、私の夢が実現した瞬間でもありました。
本当に感謝しております。

作ったはいいが、、、、

しかし、作ったのはよいのですが、すぐに壁にぶち当たりました。
そうです。売れなかったのです。
理由としては、使用目的が屋外使用前提の特殊な用途である為、必要と思ってくれるお客様が少なかったからです。

転機

2010年に初めて、大口の注文を頂きましたが、その後は思うように販売できず、当社の知名度の無さを実感しながら、それでもコツコツと営業を続けました。
2011年の東日本大震災により、防災に対する意識が高まり、防災無線の拡声放送装置が注目され、お客様からの注文も増えはじめました。
また、次のラインナップとして2012年に240Wアンプの開発を行い、さらに拡販する事ができました。

一般的な業務用拡声アンプは、屋内使用の用途が多いのですが、当社のものは、屋外使用が前提であり、広範囲の温度帯でも動作し(-20℃~60℃)、各種保護機能がついているので、過酷な使用条件でも使え、耐久性に優れています。その事が、少しずつ、口コミ等により伝わり販売拡大へと繋がっていったのです。

これから

アンプは、災害や防災時の対策として使用されることも多く、品質に対する要求基準も日増しに高まっています。また、そういった設備などの不具合に伴う影響度の大きさなども報道等で大きく扱われるようになりました。

私としても、アンプ生産の拡大と共に、その責任をひしひしと感じています。品質の管理については、今後も細心の注意を払って、その向上に努めていきたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。「エンジニアの未来」は毎週月曜日更新!次回もお楽しみに!